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研究室で始まる「妊娠」──ヒト胚でオルガノイドを“妊娠させる”研究が示す未来
北京をはじめとする研究チームが、ヒト胚と子宮内膜オルガノイドを組み合わせ、妊娠初期の着床プロセスをマイクロ流体チップ上で再現することに成功した。Cell Pressに同時掲載された3本の論文は、これを「これまでで最も精度の高い初期妊娠モデル」と位置づけている。 従来、妊娠の成否を大きく左右する「着床」は子宮内で起きるため直接観察ができず、不妊治療における最大のブラックボックスだった。今回の研究は、IVFで失敗しやすいこの段階を可視化・再現可能な研究対象に変えた点が大きい。 研究では、実際のヒト胚に加え、幹細胞から作られた人工胚モデル「ブラストイド」も活用された。倫理的制約が比較的少なく、大量実験が可能なため、着床メカニズムの解明や薬剤スクリーニングに道を開いている。 実際、北京チームはIVFに失敗を繰り返した女性由来のオルガノイドを用い、1,000種類以上の既存薬を検証。日焼け止め成分として知られる化学物質が、着床率を大きく改善する可能性を示した。 この技術は将来的に、IVF成功率の事前予測や個別最適化治療、さらには創薬や女性医療の高度化につなが

Takumi Zamami
2025年12月27日読了時間: 2分


体重減少薬の知られざる側面
“夢の薬”に潜む、まだ見ぬリスクとは 体重減少薬をめぐる市場は、今や製薬業界の成長を象徴する存在となっている。 糖尿病薬「マウンジャロ」と肥満治療薬「ゼップバウンド」を擁するイーライ・リリーは、ついに時価総額1兆ドルを突破し、世界初のヘルスケア企業として新たな地平を切り開いた。 これらの薬の主成分であるGLP-1受容体作動薬は、血糖コントロールに加え、食欲を抑制し、心血管疾患のリスクを減らすという複合的な効果を持つとされ、まさに「現代の奇跡の薬」として注目を集めている。 しかし、その華々しい成功の陰で、GLP-1薬の長期的な安全性や副作用には依然として不透明な部分が多い。 最近の研究では、アルツハイマー病患者を対象にした臨床試験で、薬の有効性が確認されなかったことが報告された。脳内炎症を抑え、神経細胞を守る可能性があると期待されたものの、認知症の進行を止めることはできなかったのである。専門家たちはこの結果を「落胆」と受け止めつつも、健康な段階での予防効果など、別の可能性を探る研究を続けている。 妊娠や出産をめぐる問題も浮上している。GLP-1薬は

Takumi Zamami
2025年12月22日読了時間: 3分


米国がmRNAワクチンに背を向ける理由
2020年、新型コロナウイルスのパンデミックが世界を覆いました。各国で学校が閉鎖され、都市はロックダウン。世界保健機関(WHO)によれば、この年だけで約300万人が命を落としました。そんな中、世界を救ったといわれるのが、mRNAワクチンです。 mRNAワクチンは、従来のワクチン開発では考えられないほど短期間で実用化されました。通常、新しい薬の開発には10年近くかかります。ところが、2020年1月に新型コロナの遺伝子配列が解読されると、わずか1年も経たないうちにファイザーやモデルナがワクチンを世に出したのです。 治験では「95%の感染予防効果」と評価され、実際に世界中で数十億回接種されました。米国政府も「Operation Warp Speed(オペレーション・ワープ・スピード)」と呼ばれる巨額の支援プログラムを立ち上げ、約180億ドルを投じて研究開発を後押ししました。結果的に、数百万単位の命が救われたと考えられています。 ところが、状況は一変します。米国の保健当局はいま、このmRNA技術から距離を置き始めています。新規の研究費は削減され、既存のプ

Takumi Zamami
2025年10月24日読了時間: 4分


30年前に凍結された胚から誕生した命──家族の「かたち」を変える生殖技術の進化
2025年7月26日、アメリカ・オハイオ州で「世界的に記録的な赤ちゃん」が誕生しました。 サディアス・ダニエル・ピアースくんが成長した元の胚(はい)は、実に30年半もの間、冷凍保存されていました。まさに、「世界で最も長く眠っていた赤ちゃん」と言えるでしょう。...

Takumi Zamami
2025年8月4日読了時間: 3分


カロリー制限で長生きできるのか?
みなさん、「カロリーを減らすと寿命が延びる」なんて話を聞いたことはありませんか? 実はこれ、動物実験ではかなり昔から言われていることで、ネズミやサルなどで確かに寿命が延びるという結果が出ています。 なかには寿命が最大で6割も延びたという例もあります。...

Takumi Zamami
2025年7月18日読了時間: 2分


生成AIが建設現場の安全向上に貢献できる可能性
アメリカで年間1000人以上が命を落とす建設現場の事故。 その最大の原因の一つが「安全第一」と言いながら生産性を優先して安全確認が後回しになる現場の実態です。この問題に対し、AIを活用して現場の安全管理を支援する取り組みが始まっています。...

Takumi Zamami
2025年7月11日読了時間: 2分


【2025年版】10の画期的なテクノロジー
MIT Technology Reviewが、今後数十年に渡り私たちの世界に大きな影響を与えると予想する、10の画期的なテクノロジーの2025年版。 ヴェラ・C・ルービン天文台 今年、チリの人里離れた地域に新しい強力な望遠鏡が稼働を開始します。この望遠鏡は、南半球の空を10...

Takumi Zamami
2025年1月14日読了時間: 4分


2025年にAIが直面する5つのトレンド
すでにエージェントや小規模言語モデルが次の大きなトレンドであることはみなさまご存知の通り。今年注目すべき他の5つのホットなAIトレンドについてお伝えします。 1. 生成的仮想空間 :ゲームやロボット訓練のための動的3Dシミュレーションが急成長。...

Takumi Zamami
2025年1月14日読了時間: 3分
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