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ケニアで始まった「グレート・カーボン・バレー」構想――地熱を使ったCO₂回収は現実解になり得るのか
ケニア中部のナイバシャ湖周辺は、地熱資源が豊富な大地溝帯の一角であり、複数の地熱発電所が国内電力の約4分の1を生み出している一方で、余剰エネルギーが十分に活用されていない。スタートアップのOctavia Carbonは、この余剰地熱を使って大気中から二酸化炭素(CO₂)を直接回収するDAC(Direct Air Capture)の実証試験を進めており、コンテナ型のモジュール装置でスケール拡大を狙っている。 この動きを軸に、「グレート・カーボン・バレー」と名付けられた構想も進む。ナイロビ出身のBilha Ndirangu氏らが中心となり、ケニアの豊富な地熱と再生可能エネルギーを生かしてDAC企業やほかのエネルギー多消費産業を誘致し、雇用創出やインフラ整備を通じて国の「グリーン産業化」を進めようというものだ。既にClimeworks(スイス)やSirona Technologies(ベルギー)、Yama(フランス)といった欧州企業がケニアでのパイロット計画を打ち出し、Cella(アメリカ)やCarbfix(アイスランド)など地中貯留のプレーヤーも関わ

Takumi Zamami
2025年12月30日読了時間: 2分


研究室で始まる「妊娠」──ヒト胚でオルガノイドを“妊娠させる”研究が示す未来
北京をはじめとする研究チームが、ヒト胚と子宮内膜オルガノイドを組み合わせ、妊娠初期の着床プロセスをマイクロ流体チップ上で再現することに成功した。Cell Pressに同時掲載された3本の論文は、これを「これまでで最も精度の高い初期妊娠モデル」と位置づけている。 従来、妊娠の成否を大きく左右する「着床」は子宮内で起きるため直接観察ができず、不妊治療における最大のブラックボックスだった。今回の研究は、IVFで失敗しやすいこの段階を可視化・再現可能な研究対象に変えた点が大きい。 研究では、実際のヒト胚に加え、幹細胞から作られた人工胚モデル「ブラストイド」も活用された。倫理的制約が比較的少なく、大量実験が可能なため、着床メカニズムの解明や薬剤スクリーニングに道を開いている。 実際、北京チームはIVFに失敗を繰り返した女性由来のオルガノイドを用い、1,000種類以上の既存薬を検証。日焼け止め成分として知られる化学物質が、着床率を大きく改善する可能性を示した。 この技術は将来的に、IVF成功率の事前予測や個別最適化治療、さらには創薬や女性医療の高度化につなが

Takumi Zamami
2025年12月27日読了時間: 2分


建設業の未来を変える「ヒューマノイド・ロボット」
建設業界は長年にわたり、生産性の停滞と労働力不足という構造的課題に直面している。2000〜2022年の建設業の生産性成長率は年平均0.4%と、製造業(3.0%)を大きく下回る。熟練労働者の高齢化が進む一方、若年層の新規参入は安全性や将来性への懸念から減少しており、世界的な住宅・インフラ需要とのギャップは今後40兆ドルに達する見込みだ。 こうした状況を打破する可能性を秘めるのが「ヒューマノイド・ロボット」である。人間に近い形状を持ち、複数の作業をこなす汎用ロボットとして、近年大きな注目を集めている。AI技術、とりわけ視覚・言語・動作を統合する基盤モデルの発展により、ヒューマノイドは作業現場での自律判断能力を高めつつある。膨大な建設データを学習することで、人間が数年かけて習得するスキルを短期間で再現できる可能性もある。 現在の課題はコストと技術面だ。ヒューマノイドの価格は1台15万〜50万ドルに達し、商用化には2万〜5万ドルまでの低減が必要とされる。また、安全性の担保や法的枠組みの整備、バッテリー交換・高速充電による稼働率向上も求められる。国際標準化

Takumi Zamami
2025年11月20日読了時間: 2分


【ビル・ゲイツ】気候危機を救う最大の武器は“人間の創造力”だ
世界は2015年のパリ協定で掲げた温暖化抑制目標を達成できないことが、ほぼ確実になっている。政治家や企業の責任を指摘する声は多いが、根本的な問題は、排出削減を実現するための技術がまだ十分に存在せず、また多くの既存技術が依然として高コストであることだ。 だがビル・ゲイツ氏はこれを悲観ではなく「人類の創造力への信頼」として捉える。彼によれば、過去10年間の技術革新によって2040年の予測排出量はすでに40%減少しており、この流れをさらに加速させることができれば、目標に近づく可能性はあるという。 ゲイツ氏は20年以上にわたり気候変動の研究と投資を続け、2015年に設立した「ブレイクスルー・エナジー(Breakthrough Energy)」を通じて150社以上のクリーンテック企業を支援してきた。フェルボ・エナジー(地熱発電)やレッドウッド・マテリアルズ(EVバッテリーリサイクル)など、その中にはすでに世界市場で存在感を示す企業もある。彼の見立てでは、気候テクノロジーは公共善であると同時に、今後の経済を根本から作り変える巨大産業でもある。エネルギー市場、

Takumi Zamami
2025年10月25日読了時間: 4分


米国がmRNAワクチンに背を向ける理由
2020年、新型コロナウイルスのパンデミックが世界を覆いました。各国で学校が閉鎖され、都市はロックダウン。世界保健機関(WHO)によれば、この年だけで約300万人が命を落としました。そんな中、世界を救ったといわれるのが、mRNAワクチンです。 mRNAワクチンは、従来のワクチン開発では考えられないほど短期間で実用化されました。通常、新しい薬の開発には10年近くかかります。ところが、2020年1月に新型コロナの遺伝子配列が解読されると、わずか1年も経たないうちにファイザーやモデルナがワクチンを世に出したのです。 治験では「95%の感染予防効果」と評価され、実際に世界中で数十億回接種されました。米国政府も「Operation Warp Speed(オペレーション・ワープ・スピード)」と呼ばれる巨額の支援プログラムを立ち上げ、約180億ドルを投じて研究開発を後押ししました。結果的に、数百万単位の命が救われたと考えられています。 ところが、状況は一変します。米国の保健当局はいま、このmRNA技術から距離を置き始めています。新規の研究費は削減され、既存のプ

Takumi Zamami
2025年10月24日読了時間: 4分


なぜ「基礎科学」こそ、私たちの未来への最高の投資なのか
私たちの身の回りにあるスマートフォンやコンピュータ、AIの基盤は、ある小さな発明から始まりました。 1947年、ベル研究所の3人の物理学者がゲルマニウムを使い「トランジスタ」を作り出したのです。これは電気信号を増幅・切り替えることができ、それまでの大きく壊れやすい真空管に代...

Takumi Zamami
2025年9月30日読了時間: 3分


エチオピアの起業家の挑戦
エチオピア出身の研究者イウネティム・アベイト氏は現在32歳。マサチューセッツ工科大学(MIT)の材料科学・工学部で助教授を務め、注目の若手研究者「Innovators Under 35」に選ばれました。幼少期に電力が不安定な環境で育った経験をもとに、持続可能なエネルギー供給...

Takumi Zamami
2025年9月26日読了時間: 3分
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