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【ビル・ゲイツ】気候危機を救う最大の武器は“人間の創造力”だ
世界は2015年のパリ協定で掲げた温暖化抑制目標を達成できないことが、ほぼ確実になっている。政治家や企業の責任を指摘する声は多いが、根本的な問題は、排出削減を実現するための技術がまだ十分に存在せず、また多くの既存技術が依然として高コストであることだ。 だがビル・ゲイツ氏はこれを悲観ではなく「人類の創造力への信頼」として捉える。彼によれば、過去10年間の技術革新によって2040年の予測排出量はすでに40%減少しており、この流れをさらに加速させることができれば、目標に近づく可能性はあるという。 ゲイツ氏は20年以上にわたり気候変動の研究と投資を続け、2015年に設立した「ブレイクスルー・エナジー(Breakthrough Energy)」を通じて150社以上のクリーンテック企業を支援してきた。フェルボ・エナジー(地熱発電)やレッドウッド・マテリアルズ(EVバッテリーリサイクル)など、その中にはすでに世界市場で存在感を示す企業もある。彼の見立てでは、気候テクノロジーは公共善であると同時に、今後の経済を根本から作り変える巨大産業でもある。エネルギー市場、

Takumi Zamami
10月25日読了時間: 4分


米国がmRNAワクチンに背を向ける理由
2020年、新型コロナウイルスのパンデミックが世界を覆いました。各国で学校が閉鎖され、都市はロックダウン。世界保健機関(WHO)によれば、この年だけで約300万人が命を落としました。そんな中、世界を救ったといわれるのが、mRNAワクチンです。 mRNAワクチンは、従来のワクチン開発では考えられないほど短期間で実用化されました。通常、新しい薬の開発には10年近くかかります。ところが、2020年1月に新型コロナの遺伝子配列が解読されると、わずか1年も経たないうちにファイザーやモデルナがワクチンを世に出したのです。 治験では「95%の感染予防効果」と評価され、実際に世界中で数十億回接種されました。米国政府も「Operation Warp Speed(オペレーション・ワープ・スピード)」と呼ばれる巨額の支援プログラムを立ち上げ、約180億ドルを投じて研究開発を後押ししました。結果的に、数百万単位の命が救われたと考えられています。 ところが、状況は一変します。米国の保健当局はいま、このmRNA技術から距離を置き始めています。新規の研究費は削減され、既存のプ

Takumi Zamami
10月24日読了時間: 4分


中国の大学、「AI推奨」への動き
欧米の大学がいまだに「学生のAI利用をどう制限するか」で議論する中、中国ではその真逆の潮流が進んでいる。主要大学が次々とAI教育を制度化し、学生に「AIを正しく使いこなすスキル」を身につけさせようとしているのだ。 2年前まで禁止対象だったAIは、いまや授業の中心テーマである。中国政法大学の教授は、AIを「講師であり、ブレーンであり、議論の相手」と位置づけ、使い方のガイドラインを授業に導入。文献レビューや要約、図表作成などへの応用を推奨する。AIを禁止するのではなく、「人間の判断を前提に、どう活かすか」を学ばせることが目的だ。 この流れは政府主導で加速している。教育部は2025年に「AI+教育」改革を発表し、思考力・デジタル技能・実践力の育成を全国で推進。北京市ではK-12(小中高)までAI教育を義務化した。清華大学や浙江大学などのトップ校はAI必修科目や学際的なAIプログラムを設置し、AIリテラシーを一般教養として位置づけている。 こうした背景には、「科学技術こそ生産力の源泉」という国家理念がある。スタンフォード大学の調査によれば、中国では80%

Takumi Zamami
10月18日読了時間: 2分


なぜ「基礎科学」こそ、私たちの未来への最高の投資なのか
私たちの身の回りにあるスマートフォンやコンピュータ、AIの基盤は、ある小さな発明から始まりました。 1947年、ベル研究所の3人の物理学者がゲルマニウムを使い「トランジスタ」を作り出したのです。これは電気信号を増幅・切り替えることができ、それまでの大きく壊れやすい真空管に代...

Takumi Zamami
9月30日読了時間: 3分


大規模関税、米製造業の回復を脅かす可能性
関税で製造業は戻らない。むしろ、未来の技術革新の芽を摘みかねない。 トランプ氏は「関税をかければ工場と雇用がアメリカに戻ってくる」と主張しています。 一見、アメリカの産業を守る愛国的な政策のように見えますが、それほど単純な話ではありません。...

Takumi Zamami
4月30日読了時間: 2分


中国AIベンチャー、米国の制裁を逆手に取った技術革新
公式サイト より 今回ご紹介したいのは、中国の新興AI企業「DeepSeek」が開発したオープンソースの推論モデル「DeepSeek R1」です。OpenAIのChatGPT o1と比較しても、複数のベンチマーク(性能指標)で同等以上の結果を出しながら、コストを大幅に抑えて...

Takumi Zamami
2月18日読了時間: 3分


マーク・ザッカーバーグとメディアの力
マーク・ザッカーバーグは今年1月7日に、「More Speech and Fewer Mistakes」というタイトルでブログと動画を公開した。 彼は、 「I started building social media to give people a voice (私は...

Takumi Zamami
1月14日読了時間: 3分
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