大規模関税、米製造業の回復を脅かす可能性
- Takumi Zamami
- 4月30日
- 読了時間: 2分
更新日:5 日前
関税で製造業は戻らない。むしろ、未来の技術革新の芽を摘みかねない。

トランプ氏は「関税をかければ工場と雇用がアメリカに戻ってくる」と主張しています。
一見、アメリカの産業を守る愛国的な政策のように見えますが、それほど単純な話ではありません。
そもそも、現代の製造業はグローバルなサプライチェーンで成り立っています。つまり、一つの製品を作るのに、部品や材料が世界中から集められているのです。そんな中で突然、高い関税をかけると、材料のコストが上がり、かえってアメリカの製造業の足を引っ張ってしまう可能性があります。
実際に、関税の影響で製造業のコストが上昇し、企業の投資意欲が冷え込んでいるというデータも出ています。工場の新設がストップしたり、新しい雇用が生まれなくなったりしているのです。
ここで重要なのは「不確実性」です。関税の内容がころころ変わると、企業は先の見通しを立てられず、大きな投資ができません。これが製造業再生の大きな障害になっているわけです。
では、関税はまったく意味がないのでしょうか?
戦略的に限定的に使えば効果がある場面もあります。たとえば、中国が過去に安いレアアース磁石を大量に輸出してアメリカ国内の産業を壊したような場合です。こうした重要分野での関税は、国内企業が立ち上がるための一時的な「時間稼ぎ」になるかもしれません。
ただし、やみくもに広く関税をかけるのではなく、「どこに・どれだけ・いつまで」かけるのかを慎重に見極めなければなりません。これには、国際貿易やサプライチェーンに対する深い理解が必要です。
いまアメリカは、半導体、電池、AIなど、次世代の技術を形にする大事な時期を迎えています。こうした技術を国内で製品化できるかどうかが、今後の経済や国際競争力を左右します。
ですから、過去の「煙を上げる工場に人が集まる時代」を目指すのではなく、「新しい技術を支える先進的な製造業」をどう育てていくか――これが、これからのアメリカにとっての本当の課題なのです。 元記事はこちら↓
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