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風力活用の船舶開発における脱炭素化への道すじ

  • 執筆者の写真: Takumi Zamami
    Takumi Zamami
  • 2月18日
  • 読了時間: 2分

更新日:5 日前


風力は十分に活用されていない資源であり、環境負荷の高い海運業界をよりクリーンな未来へ導く可能性を秘めています。



みなさんは船舶輸送の温室効果ガス排出量が世界全体の約3%を占めることをご存じでしょうか。このまま成長が続けば、2050年までに10%に達するともいわれています。そんななか、小さな国の取り組みが注目を集めています。


太平洋に浮かぶマーシャル諸島では、古くから伝わるカヌー文化を活用しつつ、最新技術も取り入れた「風力」を使った船舶の開発が進められています。


マーシャル諸島の人々は、長い間カヌーで移動してきましたが、いまではディーゼル燃料を使う大型貨物船に大きく依存しています。しかし、海面上昇や異常気象に悩まされるなか、“自国の船を完全に脱炭素化しよう”という強い意志が生まれました。


地元のカヌー組織を率いるアルソン・ケレンさんは、若者に伝統的なカヌーを教え、さらに太陽光発電パネルを備えた大型の帆船もつくるなど、多彩な取り組みを進めています。その成果の一つが、2024年に処女航海を果たした「Juren Ae」という新たな貨物帆船で、最大80%の排出削減につながる可能性があるといわれています。


一方で、世界の海運業界全体も、2050年までに排出量を実質ゼロにしようと国際海事機関(IMO)の主導で動き出しています。


主な選択肢としてはアンモニアや水素燃料、原子力などが挙げられますが、その中で「風力」の重要性が再評価されているのです。現代の風力技術は多彩で、飛行機の翼のような「硬い帆」や、パラグライダーのような「凧」、内部のファンで空気を吸い込み推進力を得る「吸引帆」、シリンダーを回転させて進む「ローターセイル」などがあります。これらを補助的に使うだけでも燃料の消費が抑えられ、最大で2~3割程度の削減効果があると試算されているのです。 


こうした技術開発が続けば、海運業は思っているより早く脱炭素化できるかもしれません。マーシャル諸島のような小さな国の伝統技術から、ヨーロッパなどで開発が進む新しい帆のアイデアまで、風力活用の可能性は広がっています。


いずれにしても、“風の力を利用する”という、人類が何千年も前から培ってきた知恵を再び取り入れることが、未来の船舶輸送をよりクリーンに導く鍵になるのではないでしょうか。


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