【CES 2026 現地レポート】中国テック企業がAIとロボットで示す圧倒的な存在感
- Takumi Zamami

- 1月15日
- 読了時間: 4分

世界最大級のテクノロジー見本市・CES(Consumer Electronics Show)において、中国企業の存在感が完全復活を遂げました。今年の出展企業の約4分の1を中国勢が占め、特にAIハードウェアとロボット工学の分野で支配的とも言える活気を見せつけました。
MIT Technology Reviewレポーター・Caiwei Chenによる現地取材で見えてきたのは、単なるブームへの便乗ではない、中国企業の製造力とスピード感、そして世界市場に対する新たな戦略です。
1. 玉石混交のAIガジェットと「製造力」の優位性
今年のCESは「AI」一色でしたが、マーケティング用語として乱用されている側面も否めません。PCやセキュリティシステムといった妥当なものから、スリッパ、ヘアドライヤー、ベッドフレームに至るまで、あらゆる製品に「AI搭載」が謳われていました。
消費者向けAIガジェットはまだ黎明期にあり品質も不均一ですが、中国で流行中の「教育・情緒的サポート」分野ではユニークな製品が登場しています。
Luka AI: 赤ちゃんの周りを動き回り、見守り役となるロボットパンダ。
Fuzozo: ふわふわしたキーホルダーサイズのAIロボット。物理的なデジタルペットとして、扱い方で性格や反応が変化する。
投資家・Ian Goh氏(01.VC)が指摘するように、西側企業がハードウェア競争を諦めがちななか、中国はその圧倒的な製造力を武器に、この分野で独自のエッジを築いています。
2. ダイソンやSharkを脅かす「家電」の支配者
かつての「安くて模倣的」というイメージは過去のものです。中国企業は今、家庭用エレクトロニクス分野で洗練された製品を送り出しています。
ロボット掃除機: 米国市場では中国の2ブランドが市場を実質的に支配しており、ダイソンやSharkのシェアを奪っています。
「庭」テックの独占: 芝刈り機やプール用ヒートポンプなど、欧米の郊外ライフスタイル向け製品のほぼ全てが深センで作られています。中国国内にはほとんど存在しないライフスタイルであるにもかかわらず、です。
これらの製品は極めて洗練されており、探そうとしない限り中国製だとは気づかないレベルに達しています。
3. ヒューマノイド・ロボット:ショーの裏にある「データ戦略」
会場で最も注目を集めたのは人型ロボットでした。ダンスやバク転に加え、杭州のUnitree社はボクシングリングを設置し、ロボットの性能をアピールしました。
バランス能力: リング上で人間に突き飛ばされても、よろめきながら体勢を立て直し、動きの中でリカバリーする。
器用さ: 洗濯物をたたむ、ピアノを弾く、ラテアートを作るといった繊細な作業も実演。
現状では、これらは特定のタスクに特化した「一芸」に過ぎず、Tシャツを裏返すと畳めなくなるなどの限界もあります。しかし、中国企業の狙いは、AIをテキストの世界から物理世界へ引き出すことにあります。 AIモデルの進化には物理データが必要ですが、テキストデータに比べて圧倒的に不足しています。人型ロボットは、アプリケーションであると同時に「動くデータ収集端末」と位置づけられています。EVやモーター、センサーなどのサプライチェーンを持つ中国は、この分野で有利なポジションにあります。
4. インフラ層への進出と新たなグローバル戦略
中国企業はガジェットだけでなく、クラウドやインフラのレイヤーでもイノベーションを起こしています。 CES 2026では、デバイスそのものよりもクラウドやエコシステムが主役となりました。
Lenovo: クロスデバイスAIエージェントシステム「Qira」を発表し、Nvidiaとの提携をアピール。
Nvidia: データセンタープラットフォーム「Vera Rubin」を発表。
AMD: データセンターシステム「Helios」を紹介。
現地では、中国からの参加者と米国の参加者が自然に交流し、「慎重な楽観主義」が漂っていました。中国企業の新たなデフォルト戦略は明確です。「中国で作り、世界へ売り、米国市場を実証の場(プルービング・グラウンド)として利用する」 彼らは、西側よりも速くイテレーション(改善の反復)を回せるという自信を深めています。 元記事はこちら



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