AIを活用した再製造の革新推進
- Takumi Zamami

- 5月15日
- 読了時間: 3分
更新日:5月26日
今日は、「再製造(リマニュファクチャリング)」という、あまり耳慣れないけれど、実はとても重要な産業とAIの話をしたいと思います。

再製造とは、一度使われた部品や製品を回収し、きれいに分解・修理して、新品同様の品質で再び市場に送り出すという、持続可能なものづくりの手法です。環境にも優しく、コストも抑えられるため、航空機、重機、電子機器など幅広い業界で注目されています。
特に最近では、サプライチェーンの混乱や部品不足を受けて、再製造が急速に広がりを見せています。
そんな良いことづくしの再製造にも、次のような課題があります。
どの製品がいつ、どんな状態で戻ってくるか予測できない(コア予測)
製品の種類(SKU)が多すぎて、適切な価格を設定するのが難しい
保証書の申請内容がバラバラで、何が原因なのか特定しにくい
そこで、活躍するのがAIです。
例えば、コア予測(製品の戻り予測)では、AIが過去のデータや地域経済の動きを元に、 「いつ、どんな製品が、どのくらい戻ってくるか」を予測します。これにより、在庫のムダや配送コストを削減できます。
価格の最適化においては、長い間動きの少ない部品(ロングテールSKU)の適正価格を提案します。ある企業では、AIによって利益率が11〜15%向上したそうです。
保証書対応では、AIが保証申請の文章を読み取り、パターンを分析します。壊れやすい部品や設計ミスを見つけることで、次の製品開発に活かすことができます。
あるグローバルOEM企業では、再製造パーツの保証データをAIで分析し、部品の寿命や故障パターンを特定しました。その結果、以下のような改善が見られました。
• ユーザーの稼働時間が約7%向上
• 保証コストが25%削減
• 製品の価格にプレミアムを上乗せできるようになった
つまり、AIによって信頼性の高い再製品を作ることで、企業も顧客も得をしたのです。
ただし、AIは導入すれば勝手に成果が出るわけではありません。
成功のカギは「技術+組織改革」にあり、以下のステップが重要です。
1. 焦点を絞った使い方をする(あれもこれもはNG)
2. 経営層の“本気の支援”を取り付ける
3. 経営陣と目的を共有する
4. 人材や組織の体制をチェックする
5. 明確な導入ロードマップを作る
6. チェンジマネジメントに一層注力する(成功体験の共有など)
今やAIは、画像や文章の生成だけでなく、製造の現場でも「本物の仕事」をする時代に入っています。そして再製造の分野では、コスト削減、効率化、そして地球環境への配慮という面で、非常に相性が良いのです。
再製造のルネサンス。
その主役になるのは、「AIと、それを使いこなす人」なのかもしれません。
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