大規模なバッテリー火災はエネルギー貯蔵の未来に何を意味するのか
- Takumi Zamami
- 2月18日
- 読了時間: 3分
更新日:5 日前
モスランディング発電所で起きた火災が、バッテリー安全性への懸念を高めています。

2025年1月、アメリカ・カリフォルニア州にある世界最大規模のバッテリー群を備えた「モスランディング火力発電所」で火災が発生しました。火災は数週間前に発生し、消火は数日で完了しましたが、周辺地域には健康面や環境面での懸念がまだくすぶっているようです。
バッテリー火災に対する不安は、モスランディングのような大規模施設での事件が報じられるたびに高まります。しかし一方で、太陽光や風力など再生可能エネルギーの割合が増えていくなか、エネルギーを安定的に供給するために「大容量の蓄電システム」は不可欠となってきています。つまり、安全面と必要性のバランスをどのようにとるかが大きな課題なのです。
今回の火災が起きたのは1月16日午後のことで、当初は小規模だった火があっという間に大規模に拡大しました。住民1,000人以上が避難し、周辺道路が閉鎖されるほどの騒ぎでした。原因はまだはっきりしていませんが、2020年に稼働を始めた最初期の300メガワット級バッテリーが主に被害を受けたようです。
モスランディングのバッテリーは以前にも火災を起こしており、今回の被害はこれまでで最も深刻でした。住民の不安は大きく、アメリカ環境保護庁(EPA)が大気中の有害物質を測定したところ、有害ガスの大きな上昇は確認されなかったものの、土壌や水質からはコバルトやニッケルなどの金属が検出されました。いまのところ安全基準内とのことですが、将来的な影響を心配する声もあります。
さらに、これらの検査結果をもとに、一部の住民が運営会社であるVistraを訴えました。訴訟の原告側には、汚染された地下水問題で有名になった活動家のエリン・ブロコビッチ氏も加わっています。この事件は、再生可能エネルギーやバッテリー技術がいかに“地球温暖化対策に役立つ”といっても、地域にマイナスの影響を与える可能性を無視できないことを改めて示しています。
今後、このような火災や訴訟がエネルギー貯蔵産業全体にどのような影響を与えるかが注目されています。以前の原子力事故「スリーマイル島」のように、一度大きな事故があれば社会的な支持が急速に失われるのではないか、との懸念もあるのです。ただし、現在の最新バッテリーシステムは、火災拡大を最小限に抑える構造や、より安全性の高い化学組成を導入するなど、改善が進んでいます。
エネルギー貯蔵は、脱炭素化をめざすうえで欠かせない技術です。世界全体で2023年時点では54ギガワット程度の容量が稼働していますが、各国が再生可能エネルギー拡大の方針を守るとすれば、10年以内に10倍にもなると予想されています。こうした爆発的な普及に対応するためには、今回の火災の原因究明や再発防止策をきちんと講じることが重要なのです。エネルギー産業は急速に進化していますが、安全性も同時に追求していかなければなりません。
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