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下水サーベイランスで麻疹を追え――米公衆衛生の新たなデータ戦略

  • 執筆者の写真: Takumi Zamami
    Takumi Zamami
  • 13 分前
  • 読了時間: 2分


米国ではしか(麻疹)の感染が急速に拡大しており、2025年1月以降の感染者数は2,500人を超え、3名の死者も報告されている。ワクチン接種率の低下を背景に、米国はWHO(世界保健機関)による「はしか排除国」の認定を取り消される危機に瀕している。こうしたなか、公衆衛生の新たな防衛策として「下水サーベイランス」の実用性が注目されているが、なぜ下水が感染対策の切り札となり得るのか、その理由は下水そのものの性質にある。


結局のところ、下水には唾液、尿、便、剥がれ落ちた皮膚などが含まれており、これを都市全体から集められた「豊富な生物学的サンプル」の宝庫と見なすことができる。はしかウイルスもまた、感染者の尿などを通じて下水に排出される。Emory UniversityのMarlene Wolfe氏とStanford UniversityのAlexandria Boehm氏らの研究チームは、この特性に着目してはしかウイルスのRNAを特定する検査法を開発し、2024年12月から2025年5月にかけてテキサス州の2つの下水処理場で大規模な試験運用を行った。


Wolfe氏らのチームは、各現場で週に2~3回という高頻度でサンプルを採取し、徹底的なモニタリングを実施した。その結果、期間中に収集したサンプルの10.5%からはしかRNAを検出することに成功している。ビジネスや行政の意思決定において特筆すべきは、その「即時性」だ。この調査では、最初の陽性反応が、その地域で公式に感染者が確認される「1週間前」に検出されていた。これは、下水監視が臨床診断よりも早い段階でアウトブレイクの予兆を捉え、公衆衛生当局が対策を講じるための貴重なリードタイムを確保できることを示唆している。


こうした成果は、すでに実社会でのアクションに結びついている。Wolfe氏は、「公衆衛生局がこのデータに基づいて行動するのを見てきました」と語る。実際に、下水データからの早期検知を受けて地域住民へ警報を出したり、ワクチン接種活動を強化したりする事例が出始めているのだ。かつては実験的な試みであった下水サーベイランスだが、今では行政や臨床医、そして家族が、自分たちや地域社会の安全を守るために活用する実用的な情報インフラとしての地位を確立しつつある。


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