ニューヨーク州の電力網再構築と脱炭素化の鍵として期待される北米最長の地下送電線「Champlain Hudson Power Express(CHPE)」が、本格稼働を前に課題に直面している。
ブラックストーン傘下の企業とカナダのハイドロ・ケベックが共同で総額60億ドルの民間資金を投じた同プロジェクトは、ケベック州の豊富な水力発電による再生可能エネルギーをニューヨークへ輸送する目的で建設された。総延長339マイルにおよぶ地下および水底ケーブルを通じて、ニューヨーク市の電力需要の最大20%を賄う能力があり、化石燃料への依存脱却とシステムコストの削減を推進する重要インフラとして注目を集めている。
しかし、今年5月の開通以降、同送電線は初期トラブルに見舞われている。7月に入り、カナダ側の変換器の不具合や米国側のケーブル損傷により2度の稼働停止が発生し、現在も復旧とテスト作業が続いている。他の新規送電線プロジェクトでも同様の立ち上げ時の課題は見られており、機器の信頼性確立には実稼働を通じたテストが必要とされている。ニューヨーク独立系統運用者は、今夏の電力網計画において同プロジェクトへの依存を事前に想定していなかったため、直近の熱波においても電力供給に支障は出なかったとしているが、巨額の長期投資である以上、最終的には安定した稼働が求められる。
さらに中長期的な懸念材料として、供給元であるケベック州の気候変動リスクが挙げられる。同地域では過去3年間にわたり深刻な干ばつが続いており、発電用の水資源が減少している。インフラとしての送電能力が整ったとしても、国境を越えて輸出するための水力発電の供給量そのものが確保できない可能性があり、プロジェクトの将来的な実効性を左右する要因として注視されている。
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The power line that could reshape New York’s grid is hitting snags






